ハードディスク大解剖

 

 
 

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ハードディスクの中身、主要部品。

◾️そもそも「ハードディスク」って何?
 イチから学ぶハードディスクの基本構造について



パソコンをはじめとして、現在はHDDレコーダーなどの家電製品にも使われるようになった「ハードディスク」。
いまや日常生活には欠かせないハードディスクですが、HDD機器をお使いの方の中には「そもそもハードディスクって何?」という方も多く、実際に「ハードディスクの構造」をご存知の方はまだまだ少ないのが現状です。
そこで今回は、私たちの生活に必要不可欠なハードディスクの基本構造についてお話をさせていただきます。
「どのような仕組みでデータを記録しているの?」「何でデータが破損するの?」といったことまで詳しくご説明をいたしますので、ご一緒にハードディスクについて学んでゆきましょう。
 

◾️プラッタ(磁気ディスク)


 

◎プラッタはデータを記録する部分です

 
ハードディスクはデータを記録する装置ですが、そのデータをどこに記録しているかと言えば、データは「プラッタ」と呼ばれる部分に記録されています。
プラッタは円盤のような形をしていて別名をディスクと呼び、アルミニウムやガラス、セラミックなどの硬い素材(ハード)から出来ている為、ここから「ハードディスク」という名称がつけられました。
プラッタ本体はまるでレコードのような形の為、ハードディスクの構造を語る時にはレコードが引き合いに出されることがありますが、らせん状にデータを刻んでゆくレコードとは異なり、ハードディスクはバームクーヘンのような幾層にも重なった形をしていて表面上には磁性体が塗られており、回転しながら磁性体にデータを記録しています。
 

◎プラッタの枚数が増えると容量も増えます

 
プラッタは一枚もしくは複数枚のCDが重なったような形をしていて、プラッタの両面または片面にデータが記録される仕組みとなっています。
ハードディスク内にあるプラッタは数が増えれば増えるほど、ハードディスクの容量は増えてゆきます。
現在では1TB(1,000GB)以上の大容量ハードディスクも販売されていますが、このような大容量ハードディスクではプラッタの枚数が増えすぎて空気抵抗の影響を受けやすくなる為、プラッタ同士の間にヘリウムを充填して空気抵抗を減らし、故障を防いでいる製品も登場しています。
 

◎プラッタはとってもデリケート

 
上記のようにプラッタは空気抵抗ひとつとっても故障の原因になるほど、デリケートに作られています。
一般的に市販されてる3.5インチのハードディスクではプラッタの外周速度がおよそ「時速100km」から速い物では「時速200km」を超える製品もあり、高速で回転してデータを記録するプラッタ内部にちょっとしたホコリやゴミがプラッタに混入しただけでもあっという間にプラッタは壊れてしまいます。
プラッタが物理的に破損するといわゆる「データ破損」の状態につながりますが、プラッタの破損が軽度であればデータは復旧することが可能です。
 

◾️磁気ヘッド


 

◎ヘッドは読み書きを行う小さな部品です

 
ヘッドはプラッタにデータを読み書きする、いわばレコードの針のような部品です。
ヘッドはアームの先端についており、ハードディスクのデータの読み書きを行う際には、アームが動きながら電磁石の原理を利用してヘッドで読み書きを行います。
プラッタが複数ある場合にはプラッタの数に合わせて読み書きを行うヘッドの数も増えます。
 

◎ヘッドとプラッタを保護する為には「クリーンルーム」や「PC-3000」等の専用施設や機器が必要不可欠

 
磁性体が塗られたプラッタ上に読み書きを行うヘッド。
ヘッドは毎分数千から1万回以上で高速回転しているプラッタに読み書きを行う際に、およそ10ナノメートル(0.001mm)しか離れていない位置でデータの読み書きをしています。
この為、前述したプラッターと同様にヘッドはとてもデリケートな部品であり、ほんの小さなホコリやゴミがプラッタとヘッドの間に入り込んだだけでヘッドが故障する「ヘッドクラッシュ」を引き起こすことから、ハードディスクの製造工場やデータ復旧を行う現場では「クリーンルーム」などの設備や、ヘッド以外の部分から物理的な修理を行う事が出来る「PC-3000」等の機器を利用して微粒子や浮遊粒子の侵入を防ぎ、ハードディスクを傷つけないよう細心の注意を払いながらデータの読み出しを行っています。
 

◎「内視鏡的役割」を果たす新世代の解析マシン「PC-3000」とは

 
これまで、ハードディスクの物理的損傷はヘッドやプラッタにゴミやホコリが入らないようにする為、クリーンルームなどの専用設備内で修理を行う必要があり、ハードディスクを修復するためにかかる料金も設備の良さに比例して高額になりがちでした。
しかし現在では、「PC-3000」等のいわゆる「ハードディスクを完全に開封せずに修理することが出来る」という「内視鏡的な役割」を果たす解析機が登場したことによって、壊れた磁気ヘッド以外のヘッド部分からデータの読み出しを行うことが出来るようになったほか、PC-3000を使うことでヘッドの負荷を変えて破損したヘッドからデータを抽出することも可能となりました。
今では、多くのハードディスク修理業者がPC-3000を導入し始めており、クリーンルーム設備を持つ業者よりも比較的安価にハードディスクの修理を行えるようになりました。
 

◾️モーター


ハードディスクは以下の2種類のモーターによって回転しています。
 

・スピンドルモーター

 
プラッタを回転させるモーターで、「ダイレクトドライブ方式」により、モーターで発生した力を直接伝えてプラッタを回します。
スピンドルモーターは現在、4,200・5,400・7,200・10,000・15,000rpmが主な回転数となっています。
この「rpm」(アールピーエム:RevolutionPer Minute)はプラッタが1分間に回転する数のことで、たとえば15,000rpmのハードディスクであれば1分間に15,000回、プラッタが回転していることになります。
 

・シークモーター

 
ヘッドがついているアームを動かす為のモーターで、2枚の磁石(主にネオジム磁石)が出す磁力をコイルに伝えてモーターを動かしています。
コイルはアームの端の部分にあるロータリー・アクチュエーターに扇型につけられており、ヘッドが読み書きをする時には扇の曲線に沿ってアームが動くのが特徴です。
 

◾️ロータリー/アクチュエーター  


 

◎アームを動かすもっとも重要な部品のひとつ

 
ロータリー・アクチュエーターとは、ヘッドを動かしているアームの根元にあり、シークモーターが生み出す磁力をアームに伝えている駆動部分です。
データの読み書きを行うヘッドがついたアームを動かしているロータリー・アクチュエーターは、ハードディスクにおいてもっとも重要な部品のひとつであり、ハードディスクが物理的に壊れる時にはほとんどのケースでこのロータリー・アクチュエーターの不具合が原因で損傷が発生しています。
では、ハードディスクの故障はすべてロータリー・アクチュエーターが引き起こしているのかと言えばけっしてそうとは限らず、直接的なハードディスクの物理損傷の原因は次にご紹介する「軸受け」が関係しているケースも多いです。
 

◾️軸受け


 

◎「縁の下の力持ち」的な存在です

 
軸受けはプラッタを回転させているスピンドルモーターの回転軸を支えている部品であり、以前は「玉軸受け」と言ってボールベアリング(極小のパチンコ玉のような物)が使われていましたが、現在はオイルを軸受け部分に満たした構造の「流体軸受け」がより動作音が静音で長寿命になる為、多くのハードディスクで採用されています。
ロータリー・アクチュエーターやプラッタなどと比べると外側からは見えにくく目立ちにくい存在の軸受けですが、前述したように軸受けの性能はロータリー・アクチュエーターが滑らかに動くかどうかに大きく関わってくる為、物理的にハードディスクが壊れる確率は軸受けの性能次第で変わってくると言っても過言ではありません。
 

◾️ケース 


 

◎一般の方が開けるのは厳禁です

 
ハードディスクはプラッタに少しでもホコリやゴミなどの異物が付着すると故障の原因となります。
この為、プラッタやヘッドの周りは厳重に密封されてケースに収められており、ハードディスクをホコリやゴミの侵入から防いでいます。
皆様の中にはハードディスクのケースに「開封後は保証の対象外」という注意書きを見たことがある方も多いかと思いますが、これはハードディスクをクリーンルームではない状態の場所で開けてしまうことによってケースの内部にホコリやゴミが侵入してしまうからであり、一般の方がハードディスクのケースを開けることは厳禁行為となります。
 

◾️最後に

 
「ハードディスクの基本構造」についてお話をさせていただきました。
 
今回ご紹介したようにハードディスクはそれぞれの部品ひとつとっても、かなり複雑な構造で出来ており、故障が発生した場合には一般の方が修理を行うのはまず不可能となります。
もし、ハードディスクに異常を感じた時には自己流で直そうとしてケースを開けたりするとさらに状態を悪化させてしまうおそれがありますので、データ復旧やハードディスクの修理が必要な時には、PC-3000等の設備が整っているPCエコサービスへご依頼頂くことをおすすめします。
 
 
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